孤独死防止システムとして期待の「見守りサービス」
高齢者単身世帯増加に対応する孤独死防止システム
高齢化社会と核家族化が進んだ結果、2世帯同居、3世帯同居数が大幅に減少しました。
高齢者単身世帯数が増加し、誰にも看取られないまま自宅で死亡する孤独死の件数が増えています。
都市再生機構が管理する賃貸住宅では、2010年度において、「団地内で死亡」「誰にも看取られない」「死後1週間以上発見されなかった」という孤独死の件数が184件ありました。
団地というある程度限定された地域においても孤独死が起こっているということは、お隣同士や近所付き合いといった人との関わり合いが希薄になっていることがわかります。
一戸建ての住宅エリアでは、「誰が住んでいるのか」「いつから人がいないのか」などがわからないのも珍しいことではなくなり、死後数十年を経てから孤独死が発見されるケースもあります。
どの地域にいても生活が便利になった現在、家族が互いに遠く離れて暮らすことも多くなりました。
親子とも、それぞれが気楽に生活をしたい思いから別居する家族が増えています。
このような状況において、子供が親の安否を常にチェックできるシステムのニーズが高まっています。
遠く離れた親に異常があった場合、携帯電話へその安否を知らせるといったサービスは、安い料金で利用できるため、利用者数が増えています。
高齢者見守りサービスとは
1人暮らしの高齢者を見守る方法には、住んでいる地域の人たちが互いに他者の存在を確認しあうようなボランティア活動から、民間警備会社が提供する見守りサービスシステムの利用、家電メーカーなどが販売する見守りサービスがついた電化製品を利用するなどの方法があります。
地域の人たちで行う見守り活動には、昔からある老人会を通じたコミュニケーションや住民、ボランティアによる高齢者への声かけや安否確認などがあります。
このような活動では、誕生日に花を届けたり、ティーサロンを開設して高齢者に利用してもらうといったコミュニケーションを通じて、互いの存在を知り、気を付け合って、何かあった時にすぐに気が付くような環境づくりを行ってきました。
民間会社が提供する見守りサービスは、月々3,000円程度の料金を支払うだけで、チェックしてもらいたい家族の安否がわかるシステムです。
例えば、玄関のドアの開閉が一定時間以上行われなかったら、遠方の家族へメールか電話で知らせるサービスは、利用者のニーズに合わせて選べるようにその種類や数も豊富になっています。
魔法瓶などを提供する会社のシステムは、湯沸かしポットが使われると、ポットに内蔵された無線通信機が遠方の家族に利用されたことを伝えるようになっています。
スマホを使った見守り有料アプリも続々と登場しています。
高齢者が携帯電話機を使ったことを家族にメールで知らせるものから、携帯電話を持ち外出した高齢者の位置情報を知らせるサービスなどがありますが、今後も色々なサービスがそろったアプリが販売されそうです。
システムだけに頼らない 孤独死防止の最良の手段は人とのつながり
離れて1人で暮らす高齢者の家族を見守る方法はたくさんありますが、これらの手段は高齢者が孤独死をしてしまったことを教えてくれるものではありません。
最終的には、家族や近所の人たちによって孤独死が発見されることを忘れてはいけません。
便利なシステムやアプリであっても、これらは異変と思われる事態を知らせるものでしかなく、知らせを受けた人が確認をせず長期間確認を怠れば、孤独死が起こってしまうのです。
内閣府が60歳以上男女に行った調査では、男性の単身世帯においては、「会話は1週間に1回未満、ほとんど話をしない」が17.5%、「1週間に1回」「2~3日間に1回」を含めれば全体で28.7%という結果が出ました。
このような人たちで「困ったときに頼れる人がいない」男性単身世帯の割合は20.0%、女性単身世帯では8.5%となっています。
このような人たちが突然自宅で亡くなってしまった時、近所の人たちが異変に気付いて見つけてくれることは困難です。
以上のことからわかるように、孤独死を防止するにはアプリなどのツールに頼るだけでなく、普段から自分自身が周囲に対してつながりを作るような行動が求められます。
アプリがあるから大丈夫ではなく、それ以外に、遠方に住む家族が直接連絡をとれるような知り合いを近所に作っておくなど、人とのつながりをどこかに作っておくことが、孤独死防止の最善策になるのではないでしょうか。
まずはお気軽にご相談ください(無料)