男性は40代から意識しておくべき孤独死の危機

東京都内における孤独死の実態

1人暮らしの高齢者数が増加した結果、誰にも看取られないまま自宅で息を引き取ってしまう「孤独死」「孤立死」の件数が増加しています。

東京都監察医務院が公開しているデータによりますと、2014年東京都内で一人暮らしで亡くなった数は5,980人でした。
内訳は男性が4,083人、女性が1,897人で、孤独死の約7割を男性が占めています。

男女別に1人暮らしで死亡者数の多い年齢を見ると、男性は60代、女性は85歳以上となっています。
特に40代以降、一人暮らしの男性が孤独死をした数は女性の3倍にもなっています。
65~69歳においては、孤独死をした男性の数は女性の5倍という結果が出ました。

現在「孤独死」は公的に定義されておらず、そのため孤独死に関する地方レベルや国全体のデータもありません。

しかし東京都内におけるこれらの孤独死の実態、つまり男性の孤独死の方が女性よりも多いこと、特に40代以降に実際にその数が増えていることは、東京以外の地域や全国レベルにおいても同様ではないかと考えられています。

孤独死が中高年男性の一人暮らしに多い理由

データを元に算出した東京23区における孤独死の発生確率は、最も発生者数の多い65~69歳の男性の層で死者100人あたり死後2日以上で発見される割合が8.36人、4日以上が5.69人、8日以上が3.90人と算出されました。

孤独死のほとんどは病死で、自殺者数が多いわけではありませんが、なぜ「中高年男性の一人暮らしに孤独死が多い」のでしょうか。

調査では、男性の40代以降から孤独死数が増える傾向がみられています。
未婚で一人暮らし、仕事で忙しくしていれば生活も不規則になり、食事においても栄養バランスが崩れていても不思議はありません。
加えて、早朝出勤し深夜帰宅、土日も仕事というような生活では、近隣住民との交流もほとんどないことが予想されます。

このような男性が60歳を過て、定年退職をした後、体が不自由になって自立した生活を送ることが困難になっても、病気の治療のために通院しながら、介護サービスを受けて生活できるかどうかはわかりません。
1人暮らしが長かった人ほど、他者との関わり合いが苦手、または嫌い、わずらわしいなどの理由から、自ら公的サービスを利用せず、全て自分で抱え込むか、または何もせずに日々を過ごした結果、「ゴミ屋敷」「閉じこもり」「医療拒否」といったセルフ・ネグレクト状態に陥っている現状もあります。

これとは逆に、介護サービスなどを定期的に利用していた人の場合では、死後発見までの期間が短くなっています。

孤独死を防ぐために自ら心がけるべきことは

孤独死を取り巻く現状から、生前の本人の生活と他者との「物理的距離」「日頃の関係の深さ」「関わりの頻度」の3つの観点が、孤独死の早期発見のポイントにつながることが明らかになっています。

数々の震災を経験した現在、人と人との絆の大切さが重視されるようになっています。
自分1人で生きているというような考えを捨てて、周囲の人たちと適度に関わり合いを持ちながら、人生を送ることの必要性を個人個人が受け入れていくことが大切です。

現代社会においては、ある程度のお金が手元にあれば、性能の良い家電製品を利用しながら快適な家で一人暮らしをすることは誰でもできるような時代になっています。

しかし自分だけの時間を大切にし、他人から干渉されることなく自由に生活を送ることが理想的ではあっても、自分が孤独死をしてしまえば、社会や経済に少なからず影響を与えることになります。

発見されるまでの時間が長くなればなるほど、近隣住民への迷惑は計り知れないものになります。
何年も放置されたゴミ、その中で孤独死をしたという事実は、たとえその家を全て撤去処分したとしても、近隣のイメージ回復には何十年もの年月が必要になります。

自分自身、家族、大切な友達、近所に住む人々が、将来「孤立」しないためにも、普段の生活において、自らが、ほんのわずかな勇気を持って積極的に周囲と関わることで、たとえ自らが孤独死をしても発見までの時間を短くすることはできるのではないでしょうか。

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