ヒートショックとは、急激な温度差によって血圧が上下することで心筋梗塞や脳卒中といった症状に陥ることを言います。
例えば、室温が10度以下になった洗面・脱衣所や浴室で、衣服を脱ぐと急激に体の表面温度が下がって血管が収縮して血圧は急上昇してしまい、心筋梗塞、脳卒中を引き起こすことがあります。
入浴をして体が暖まると血管が膨張して、一度上がった血圧が急に下がり失神を引き起こすことがあります。
2011年には入浴中、ヒートショックに関連する急死が約17000人もいたといわれます。
交通事故による死亡者数は4611人なので、いかにヒートショックに関連する急死が多いか分かります。
12月から1月にかけてが、入浴中の心肺機能停止が多く、8月の約11倍になるとか。
高齢者以外にも、高血圧、糖尿病、脂質異常症の方がヒートショックになる可能性が高くなると言われています。
脱衣所や浴室を温かくしたり、入浴や生活の習慣を変えたりすることで、ヒートショックを予防できる可能性があります。
例えば、入浴する前にシャワーでお湯を出し、立ち上がる湯気によって浴室全体を暖めることができます。
シャワーが無い場合は、入浴する前にバスタブのフタを開けて、湯気を全体に行きわたらせることで浴室を暖めることができます。
また、湯船にいきなり入らずに、手足にかけ湯をして、少しずつ体を温めていきましょう。
湯船に入る時も、一気に体全体を沈めるのではなく、足からゆっくりと入り、徐々に体を湯船に沈めます。
湯船から出る時は一気に立ち上がるのではなく、できるだけゆっくり立ち上がります。
入浴時間は少々汗ばむ程度にして、あまり長い時間入浴しないようにしましょう。
食事の後、お酒を飲んだ時の注意点としては、血圧が降下しやすい食後60分以内、そして飲酒時は入浴をしない方がいいでしょう。
熱いお風呂は血圧を上昇させるなど体に負担をかけますので、バスタブに入れるお湯の温度は41℃以下にしてつかるのは胸のあたりまでにしましょう
できるなら、家族の留守中の入浴は避け、家族がいる時間に入浴することで大きな事故を予防できることもあります。
脱衣所や浴室だけでなく、冬は廊下やトイレが冷え込むため、あたたかい部屋から出る際は、カーディガンなどを羽織る習慣もつけましょう。
深夜などトイレに行く際、寝室と離れた場所にあると体が冷えてしまうので、トイレに近い部屋を寝室にするのもおすすめです。
家の中に色々な設備を設置することで、ヒートショックを予防できる可能性があります。
浴室暖房がある場合は、入浴前に浴室を暖めておことができて便利です。
また、洗面・脱衣所やトイレに暖房器具を設置する、浴室やトイレの窓が大きく熱が逃げやすい場合は内窓を設置する、昔ながらのタイル張りのお風呂はユニットバスにするなどリフォームも必要になってくるかもしれません。
タイル張りなど床が冷たい場合はお風呂用のマットを敷くなどして、足元からくる冷えをやわらげることも大切です。滑り止めの機能があれば、転倒事故対策にもつながります。
孤独死の原因となるヒートショックを予防する室内温度
血圧を安定させることで、ヒートショックを予防できる可能性があります。
血圧を安定させるためには、冬場、部屋全体が暖めることが重要です。
あるデータで、住宅に内窓をはじめ、断熱材、床暖房などの設置を行うと、血圧の安定化に有効である可能性が提示されています。
一方、内窓、断熱材、床暖房の設置など大幅なリフォームを行わなくても、室内から熱を逃がさないようにする方法はあります。
熱は、住宅の窓から逃げる事は良く知られています。
例えば、室内を暖房している時は、カーテンやブラインドを閉めることで、窓から熱が逃げることを防げます。
できれば、断熱性のあるカーテンに交換することをおすすめします。
ほかにも、窓ガラスに断熱シートなどを張ったり、窓の隙間を防ぐ隙間テープを張って外気が侵入するのを防ぎます。
今回、お話ししたように、住環境を整えることでヒートショックを予防できる可能性がありますので、気がついたところからやってみてはいかがでしょう。