単にだらしないわけじゃない!汚部屋になる意外な心理

部屋の掃除の頻度は、毎日しないと気が済まない人もいれば、平日は仕事で精一杯で週末にしか掃除ができない、外出がちで月に1度くらいしかまともに掃除ができないなど、その部屋の住人の性格や生活環境によってさまざまです。

毎日掃除する人にとっては、週に1度、ましてや月に1度などは考えられず、そんな汚れた部屋には住みたくないと思うでしょう。

ところが、清潔感の相違で済まされないほど、ゴミであふれた部屋に住む人がいます。単に掃除が嫌いとか、だらしのない性格だからという理由ではなく、心理的な理由が「汚部屋」という特異な状況を作り出すのです。

汚部屋とは

最近、仕事が忙しくて部屋の片づけができなかった、引っ越したばかりで部屋の整理ができていないなどの、一時的な部屋の乱れは多くの人が経験していると思います。

そうした場合のほとんどは、平日に溜め込んだゴミや汚れを週末に、1年の汚れを年末に一気に片づけてスッキリするといった、自己解決ができる範囲のものです。汚部屋はそのようなレベルを超えた、慢性的に足の踏み場もなく汚れている部屋のことです。

汚れていることに慣れてしまうと、部屋の状態はどんどん悪化していきます。もはや、「部屋をきれいにしよう」などという気持ちは起こらず、汚れた部屋に居心地の良さすら感じてしまいます。汚部屋に住む人は、このような状況にあると考えられます。

汚部屋にしてしまう人は、精神的な病気になった人、高齢によるセルフネグレクトや認知症の人、ADHD (注意欠如多動性障害)である可能性があります。

重度の精神障害や高齢者の場合は、生活自体に他者の支えが必要ですが、自分が心理的な問題を抱えていることに気づいている場合は、人の手を借りてでも一度部屋をきれいにしてから問題の改善を始めることで、汚部屋生活から解放されるケースがあります。

片付けられずに汚部屋にしてしまう人の心理タイプ

汚部屋の住人の心理タイプには、いくつかのパターンがあって、そのいくつかが複合的に関わり合っています。部屋をゴミであふれさせる心理には、「物を溜め込む」と「物が捨てられない」の大きく2つの理由があります。

「物を溜め込む」人には、ちょっと考えれば不要と分かる物でも買ったりもらったりするのが好きで、部屋に持ち帰っては戦利品に満足するタイプと、将来の漠然とした不安から、とにかく部屋に日用品の買い置きを溜めたがるタイプ、買い物の欲求が抑えられない買い物依存症などがあります。

「物が捨てられない」人には、必要な物と不必要なものとの区別がつかないタイプがいて、「捨てる物」を明確にできない、むしろ、「捨てる物などない」と思う病的な心理が存在します。

捨てる物が分からない人は、物の必要度の順位がつけられないので部屋の中の整理もできません。

また、病的な理由の他に、朝起きることができなかったり、ゴミ出しの日を忘れたりしたためにゴミを出せないまま、部屋にゴミが溜ってしまったという場合もあります。ひとり暮らしの若者や高齢者は、このようなことが汚部屋化のきっかけになることがあります。 

心に問題があることを理解し、向き合うことが大事

汚部屋の問題は、当人だけでは解決できない心理的な原因があります。物を溜め込む行為は、過去のトラウマやそれに伴う強い怒りなどの強い感情を抑え込むことによって現れる場合があります。

また、何かの失敗や人間関係のトラブルなどで空いてしまった心の「穴」を物で埋めようとして溜め込んでいるとも考えられます。

捨てられない、片づけられない場合は、ストレスや過労による軽度のうつ症状か、抑うつ状態が影響している場合があります。外ではきちんと問題なく行動できているのに、家に帰ると思考が停止して「物を整理できない」「どこから掃除すればいいのかわからない」などで、身の回りの整理ができなくなります。当人に自覚がある時は、とにかく睡眠をとるように心がけ、心身を休ませてから、できることから少しずつ始めていけば、汚部屋を慢性化させずに済みます。

家族の住まいが汚部屋になっていたら

家族などが汚部屋に住んでいることが分かったら、頭ごなしに非難したり、片づけることを強要するのではなく、当人の心の問題を理解してカウンセリングを受けさせるなどの対策をたててあげることが必要です。

原因となっているトラウマに一緒に向き合ったり、家庭内や学校、職場で当人のおかれている状況を把握して心理的に抑圧されていたり、強いストレスを感じているようであれば改善するように働きかけましょう。

集中力が続かなくて片づけが終わらないなどの場合は、ADHDの可能性があります。片づけの行程を細分化して時間配分をきちんと決めるなど、やり方の工夫が必要です。

家族など親しい人の声を聞き入れず働きかけも拒絶して、溜め込んだ物に執着してかたくなに汚部屋の片づけを拒む場合は、認知症や精神障害を起こしている可能性があるので、専門家に相談しましょう。

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