こころテラスでは、皆さまからいただいた片付け・汚部屋・ゴミ屋敷の体験談をご紹介しています。
今回は、一人暮らしの女性が汚部屋を片付けたエピソードです。
私はいわゆる「片付けられない、掃除のできない女」でした。
就職と同時に一人暮らしを始めましたが、帰宅時間が遅い、疲れているという理由から部屋はいつもごちゃごちゃ散らかっていました。
なんとか念願の一人暮らしを快適な物にしたいという気持ちもありました。週に一度は部屋を片付けようと決めたものの、休日の外出も多く、なかなか部屋が片付くという事はありませんでした。
どんどん散らかり、部屋は汚れ、どこから手を付けていいかわからず・・・自分の部屋なのにちっとも落ち着かずいつもイライラしていました。
片付けも掃除も苦手なくせに「部屋をかわいくしたい」という気持ちは人一倍強く、模様替えだけは熱心にしていました。
アジアンテイスト、雑貨屋さん風、カフェっぽく・・・その時の流行によって次から次へと雑貨を買い足し、部屋はたくさんの物であふれていました。
沢山のお気に入りの物に囲まれた暮らしがしたいと思っていましたが、気が付けばホコリまみれになっていました。
それでも自分が一生懸命に働いたお給料で買った雑貨たちなので一つ一つに愛着はありましたし、雑貨屋さんのように物に囲まれた部屋は自分なりに気に入っていました。
きっかけは、友人が私のアパートに遊びに来た時のことです。
近くまで来たからと連絡があり、慌てて部屋を片付けました。出ていた物はなんとか見えないところへ片付け、私としては、それなりに掃除をしたつもりでした。
最初は楽しく話をしていましたが途中から友人の様子が変わってきました。
鼻がムズムズして鼻水が止まらないのです。どうやら私の部屋のホコリで鼻水が出ているようでした。
これはかなりショックでした。
その時に初めて「あ、私の部屋って汚いんだ・・・」という事に気がつきました。
今までの掃除の仕方を振り返ってみると、散らかっている服をたたんで、出しっぱなしの雑誌を本棚に戻して、クッションをソファにあげて・・・足の踏み場もないくらいの物を寄せてからやっと掃除が始められる状態でした。
片付けるだけでもうヘトヘト、掃除をする気になれず結局そのままでおしまいなんて事がよくありました。
リビングでさえそんな感じですから水回りなんてもっとひどい状態です。今思い出してもゾッとします。
自分が汚部屋の住人だという事に気が付き、片付けや掃除の情報をネットで漁りました。
そして、断捨離という言葉にたどり着きました。
物が少ない事で掃除がしやすくなり、キレイな部屋をキープできるということに興味がわきました。
それまでは、部屋に物を置かないなんて貧乏くさいと思っていました。
ですが、断捨離関連のブログを読んでいるうちに、むしろ物であふれた自分の部屋がなんだか不自然に思えてきました。
狭い1Kの部屋にはテイストのバラバラな雑貨がギュウギュウに、ホコリをかぶって詰め込まれています。
買って一度も袖を通していない服、コンビニに寄ったついでに買ってそのまま読んでいない雑誌も。
「この部屋の物の一体どれくらいが、本当に必要なんだろう?」そう思い、いらない物を手放そうと決意しました。
そこからは毎週末、ゴミ袋いっぱいの物を処分。
そのまま捨ててしまうのはもったいないので、売れる物はリサイクルショップへ。本の買い取りサービスも利用しました。
クローゼットから服があふれた時に購入したラック。服を処分し、ラックも手放すことができました。
最初の頃は捨てるかどうか迷ってしまい、なかなか作業が進みませんでした。それでも数か月かけて何度も何度もふるいにかけるうちに捨てられるようになりました。
買う時は一瞬なのに、捨てるとなると迷ったり処分にお金がかかったり・・・捨てるのはエネルギーのいる作業なんだと実感しました。
少しずつ部屋が片付いてフローリングが見えてくると気持ちがよく、掃除のやる気もでてきます。
一人暮らしを始めてから一度もやった事のない窓そうじをした時にはなんだか生まれ変わった気持ちでした。
断捨離を取り入れて6年、今でも油断するとすぐに物が増えてしまいます。意識して定期的に部屋を見直し、スッキリと片付いた部屋をキープしています。
今は結婚して以前より大きな部屋で暮らしていますが、物が少ないおかげで掃除にたくさんの時間をとられてしまうという事もありません。なにより、気が付いた時にいつでも掃除ができる環境なので気が付いたら掃除が好きになっていました。これは自分でも驚きです。
「汚れが溜まったら掃除するのではなく、汚れないようにこまめに掃除する」
ほこりまみれの汚部屋に暮らしていた私がこんなに変われるとは思ってもいませんでした。
物が片付いてスッキリしているとなぜだか気持ちがいい、手遅れになる前にそのことに気付けて本当に良かったと思っています。