高齢になると、どうしても物を溜め込みがちになります。
戦中戦後を経験して、物を大事にするからでしょうか?
実は、それだけではないようです。
高齢者が、住まいに物を溜め込まざるを得ない状況について、亡くなった実母の経験をもとにご紹介したいと思います。
限界集落とは人口の半分以上がお年寄りの地域のことです。
そこに住むお年寄りたちの家の周りには粗大ごみが多く積まれており、家の中には使わなくなった冷蔵庫や洗濯機、テレビなどが放置されているのが現実です。
このような風景は限界集落では当たり前の光景で、実家の母もこのような村で一人暮らしをしていました。
自治体によって粗大ごみの回収方法は違いますが、ほとんどの自治体は、処分場まで自分で車で持って行く「持ち込み」と言われる方法と、自宅近くの指定場所まで持って行く「戸別収集」があります。
車の運転もできず体力もない人は、正直言って自治体の回収方法では、どんどん不用品がたまる一方です。
私の母が住んでいた村も身体が不自由な高齢者が多く、不用品の中で寝起きするしかない状態でした。
家電リサイクル法ができて以来、粗大ごみとして出せなくなった電化製品があります。
家電リサイクル法とは、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機から部品や材料をリサイクルして、資源を有効に使うことを目的とした法律です。
上記の4つの電気化製品を廃棄するには、電気店に引き取りを依頼・市区町村に問い合わせる・指定引取場所に持ち込むといった方法があります。
電気店に引き取りを依頼する場合は、その電化製品を買ったお店やかこれから買うお店で引き取ってもらえるのですが、高齢者はいつどこで買ったのかさえ忘れています。粗大ごみにも出せず、新しい電化製品に買い替える予定もないので、使わない電化製品と一緒に暮らさざるを得ないのです。
民間の業者に頼めば、重い荷物を運び出してもらえますし、一度に多くの粗大ごみを処分することができます。
不用品の引き取りやリサイクル家電の処分もおまかせできます。
ただ多くの高齢者はインターネットを使えないため、信頼できる業者を探すのが困難です。
そんな場合は、自治体に事情を話して「不用品を1度に処分したいが、良心的な不用品回収業者を紹介してほしい」と頼むと相談にのってもらえる場合もあるようです。
※対応は自治体によって異なります
私の母は、結局粗大ごみを処分できないまま亡くなってしまいました。
「もう少しは生きていてくれるだろう、そのうち何とかしよう」という甘い考えで過ごしてきたことを、私はとても後悔しています。
元気な母が突然亡くなったように、死は必ず誰の身にもやってきます。
少しでも気力があるうちに、不用品を適切に処分することをおすすめしたいです。