こころテラスではみなさまからいただいた片付け・ゴミ屋敷の体験談をご紹介しています。
今回は、ご実家がゴミ屋敷になってしまったというエピソードです。
私の実家は、以前ゴミが散乱しいろんなものが置きっ放しでリビングの床も見えない状況のいわゆる「ゴミ屋敷」でした。
実家はどこにでもあるようなアパートの1室で、なぜゴミ屋敷になったのか、その経緯をお話します。
私の母は昔から無精な性格で、なんでも後回しにしてしまうというところがありました。
たとえば皿洗いです。昼食のお皿をすぐに洗わず、夕飯の後まで放置してしまうのです。指摘すると母は、洗い物は面倒なので1回で済ませたいと言っていました。
ゴミ出しについても、前日に出す準備をしていたにもかかわらず、当日億劫になって次の収集日まで溜めていました。
脱いだ洋服もハンガーにかけたりせず、椅子やソファーに重ねていました。
もっとも当時は私と妹の面倒も見ながら仕事と家事をこなしていたので、ある程度は仕方なかったと思っています。
現在母親は退職し、私たち兄妹は自立して実家を出ています。
年に数回実家に帰省していましたが、帰るたびに家は汚れていきました。台所には洗い物が溜まり、衣類も椅子に何枚も重ね掛け、ゴミはコンビニ袋に入れられたものがゴミ箱から溢れていました。
初めのうちは片付けるように促したり一緒に掃除をしていました。しかし帰省するたびに前よりひどい状態になっており、私も呆れて次第に実家に帰らなくなってしまいました。
そんなある日、妹から連絡がありました。実家がゴミ屋敷になっていて手に負えないと言うので、驚いて私もすぐに帰省しました。
部屋には何層にも重なったコンビニ袋のゴミがあり、衣類は散乱し、床が見えないほど物が散乱していました。私が最後に帰省した日から母親は掃除や片づけをしていなかった様子でした。
いくら無精な性格であっても、ここまで生活が荒んでしまうとは思っていなかったので、とてもショックを受けました。
私も妹もそれぞれ家庭を持ち仕事をしているため、母の家の片付けに十分時間を取ることができません。
とはいえ、この状況を放っておくわけにはいかず、インターネットで清掃の業者を探すことにしました。
ゴミ屋敷を専門に清掃をしている業者があることが分かり、すぐに依頼し清掃をしてもらいました。
業者の方に聞くと、高齢者の方の家がゴミ屋敷となってしまうケースは多々あり、中にはそのまま孤独死されることもあると聞きました。
母の同意の元、ゴミだけではなく家具や衣類など不要なものも廃棄してもらい、必要最低限のものだけを残すようにしました。
今は妹と交互で定期的に帰省しています。母親もすっかり反省し、私たちが帰る時は掃除・片付けをしているようで、以前ほど汚れた状態を見ることはなくなりました。
母は退職後、心の張り合いがなくなり、虚脱状態に陥ってしまったようです。やる気を失くし、元々の性格も手伝って、ゴミは捨てず、食器は洗わず、片付けを後回しにした結果、ゴミ屋敷となってしまったようです。
最近では孤独死などの問題もありますし、一人暮らしの母を精神的にも環境的にも放置してしまったことを今では反省しています。
とはいえ、大きな事故になる前に気づけたので本当に良かったと思っています。
貴重な体験談をありがとうございました。
「ゴミ屋敷」や「孤独死」は社会問題となっています。
特に高齢者の方は自分への関心がなくなるセルフネグレクト(自己放任)の状態に陥りやすく、ゴミ屋敷、孤独死の背景にある大きな要因となっています。
お母様もそれに近い状態だったのかもしれません。
離れている、疎遠になっているご家族やご親族がおられましたらご連絡をとるだけでも、予防につながります。
またご家族だけでは難しい場合もあるかと思います。お困りの方は、ぜひ私どもにご相談くださませ。